高輪ゲートウェイシティに見る、ロボットと暮らす街の現実味
ニュースの概要
東京の新しい街「TAKANAWA GATEWAY CITY」で、配送、清掃、警備、設備点検といった仕事をロボットが担っている様子が、ウォーカープラスの体験記事で紹介された。記事は、街を歩く中で出会った個性的なロボットたちを写真つきで取り上げ、来街者が身近に見られる点を伝えている。ロボットは実験室や工場の中ではなく、買い物客や通勤客が行き交う共用部で動いている。ここでは一台ごとの珍しさよりも、複数の種類が同じ街で役割を分けて働いていることが特徴だ。本稿では、この光景が人手不足対策としてどこまで現実的なのかを考える。
引用元: 配送、清掃、警備、点検…ロボットが活躍する次世代の街「TAKANAWA GATEWAY CITY」で出合ったユニークなロボットたちを紹介!(ウォーカープラス)
分析・見解
街全体で使うからこそ価値が出る理由
1台のロボットだけでは、業務の一部しか置き換えられない。たとえば配送ロボットが荷物を運んでも、受け取りの連絡や入退館の手続きが人手のままなら、全体の手間はあまり減らない。
高輪のように配送、清掃、警備、点検が同じ街で動くと話が変わる。エレベーターの連携、通路の使い方、充電場所、通信環境を共通にできるからだ。ロボット単体の性能より、街の設計が成果を左右する。
人の流れが多い場所では安全設計が最優先
工場の中は、動く人もルートも限られている。一方で駅前の街は、子ども連れ、車いす、大きな荷物を持つ旅行者など、動きが読めない人ばかりだ。
このため、ロボットには速さよりも、止まる、避ける、譲るといった控えめな動きが求められる。かわいい見た目や分かりやすい音声も、実は安全装置の一部だ。周囲の人が存在に気づいて自然によけてくれるからである。
警備ロボットは、人の代わりに取り締まるというより、カメラとセンサーで異変を見つけて人に知らせる役目が中心になる。ここを取り違えると、期待と現実の差が不満につながる。
先行事例と比べて見える日本の特徴
海外では、米国の大学構内を走る配送ロボットが数千台規模で運用された例がある。しかし、歩道の混雑や盗難、悪天候での停止が課題として報告されてきた。
日本は歩道が狭い一方、商業施設や駅ビルのように屋内外がつながる敷地が多い。民間が一体で管理できる街区なら、段差やエレベーターを含めて整備しやすい。つまり、道路を自由に走らせるより、管理された大型街区から広げる方が、日本では進めやすい。
独自の視点は、ロボットが街の案内役にもなること
見落とされがちだが、ロボットは働く姿そのものが広告であり、案内役でもある。来街者が足を止めて写真を撮れば、街の話題づくりにもなる。
一方で、珍しさは数か月で薄れる。話題性だけに頼らず、清掃の質や配送の速さなど、毎日の成果で評価される段階に移る。次の数年は、見せる運用から、黙って働く運用へ移れるかが分かれ目になる。
ビジネスへの影響
導入前に決めておきたい役割分担と費用の見方
ロボット導入では、本体価格だけで判断すると失敗しやすい。実際には、設置工事、通信設備、保守契約、故障時の代替要員も費用に入る。
まず、人が担う仕事とロボットが担う仕事を、作業単位で分けて書き出すとよい。たとえば清掃なら、広い床の巡回はロボット、隅や汚れの判断は人というように切り分ける。
費用対効果は、削減できる時間だけでなく、夜間や早朝など人を集めにくい時間帯をどれだけ埋められるかで見る。人が確保できない時間の穴埋めは、金額以上の価値を持つことが多い。
小さく始めて、街や施設の仕組みに合わせる
いきなり全館導入するのではなく、1フロアや1つの業務で試す方が安全だ。エレベーター連携や入館管理などの制約は、動かしてみないと見えない。
また、導入先の建物がロボットを前提に作られているかも確認したい。新築や再開発の街区は、通路幅や充電場所を最初から設計できる。既存ビルでは、段差や無線の弱い場所の改修費がかかる点を見込んでおくべきだ。
テナントや管理会社の立場なら、ロボット導入を個別に進めるより、複数社で共同利用できる仕組みを探す方が負担を抑えられる。事故時の責任の分担や、映像データの扱いも、契約前に文書で確認しておく。