警備の目は映像解析へ。Camectと3Siの提携が示す転換点
ニュースの概要
AIで映像を解析するスマートカメラ技術を持つCamectが、公共安全や民間警備向けの情報サービスを手がける3Si Security Systemsと、戦略的な技術提携を結んだ。映像から人や車などを見分ける技術と、警備の現場で使われる情報の仕組みを組み合わせる協業である。製品の詳しい構成や導入規模は、現時点の公開情報では確かめられない。ただ、映像を撮るだけの機器から、状況を判断して警備員に伝える仕組みへ向かう流れの中にある発表といえる。警備ロボットやドローンが集める映像をどう活かすかという課題にも、直接つながる動きである。
引用元: Camectと3Si Security SystemsがAI映像解析・警備インテリジェンスで提携(PR Newswire / Yahoo Finance)
分析・見解
映像を撮るだけの時代が終わりつつある
従来の防犯カメラは、事件が起きた後に録画を見返す道具だった。人が画面を見張る方式でも、集中力が続くのは長くて数十分とされる。何十台ものカメラを一人で見れば、見落としが出るのは避けられない。
Camectのような映像解析は、この前提を変える。人、車、動物などを自動で見分け、必要なときだけ通知する。見張る作業をカメラ側に移すという発想だ。
提携の本当の狙いは、カメラと現場をつなぐ部分にある
カメラ単体の精度は、すでに各社で大きな差がつきにくくなっている。差が出るのは、検知したあとの扱いだ。誰に、どの順番で、どんな情報を添えて伝えるか。ここが弱いと、通知は現場で無視される。
3Siのような警備向け情報の企業は、巡回計画や通報の流れなど、現場の運用を知っている。技術を持つ会社と運用を知る会社が組む意味は、ここにある。性能の競争から、現場で使い切れるかの競争へ移っていることを、この提携は示している。
警備ロボットやドローンの映像にも波及する
警備ロボットやドローンは、巡回するだけで大量の映像を集める。しかし映像が増えるほど、人が確認する負担も増える。ロボットを入れたのに、画面を見る人が足りなくなるという皮肉が起きる。
解析で重要な場面だけを絞り込めれば、ロボットは本来の役割である巡回の自動化を果たせる。映像解析は、ロボット警備の後ろ側を支える部品になりつつある。この点は、見落とされがちな独自の見どころだ。
誤報の少なさが、導入の成否を分ける
最大の課題は誤報である。風で揺れる木や、影、小動物を人と誤認すれば、通知は一日に何十回も鳴る。すると警備員は通知を信用しなくなり、本物の侵入も見逃しやすくなる。
実際に、住宅用カメラの分野でも、通知が多すぎて切ってしまう利用者は少なくない。提携の成果は、検知件数ではなく、通知のうち本当に対応が必要だった割合で測るべきだ。
また、顔や行動の情報を扱う以上、個人情報の保護や保存期間の設計も避けて通れない。
ビジネスへの影響
導入前に確かめたい三つの数字
警備会社や施設の担当者は、映像解析の導入を検討する際、次の三つを数字で確認したい。一つ目は、通知のうち実際に対応が必要だった割合。二つ目は、通知から警備員が動くまでの時間。三つ目は、現場の人が一日に処理できる通知の件数である。
デモでは高い精度が出ても、夜間、雨、逆光といった実際の条件で下がることは多い。試験導入では、自社の最も条件の悪い場所を選ぶのがよい。
人手不足への対策は、人を減らす発想から始めない
警備業は人手不足が続いている。解析で見張りの負担が減っても、最初から人員削減を目標にすると、現場の協力が得られにくい。まず、夜間の監視や単純な巡回を機械に任せ、人は判断と対応に集中する形が現実的だ。
費用面では、カメラ本体より、運用の設計と保守にお金がかかりやすい。既存のカメラを活かせるか、通知先を現在の連絡手段につなげられるかを、契約前に必ず確認したい。